微妙な時期のフュージョン

Healing the Wounds

Healing the Wounds

91年の作品。フュージョンというジャンルの音楽にとっては微妙な時期かも知れない。GRPの音楽もよく言えば「成熟」しているが、裏を返せば少々「マンネリ」という評価があっても致し方ない。まぁ、この手の音楽に大衆が飽きてきた時期なのかも知れない。
プロデュース&ベースはご存知マーカス・ミラー
全く個人的な好みの問題だが、僕はこの頃のマーカスが一番好きだ。サポート・プレイヤーに徹しながら、それでも強烈な個性を放っている。バンドの中の「ベーシスト」という位置が僕は好きなのだ。
あのドンシャリサウンドも、バッキングではむしろ「ふくよか」で耳に心地よく入ってくる。この頃のマーカスのプロデュース作品は打ち込みが多く、彼のベースプレイを聴きたいリスナーにとっては不完全燃焼のものが多かった。一方93年リリースの「The Sun Don't Lie」以降のソロ作品はベースをメロディー楽器として前面に押し出した作品ばかりだ。
そういう意味でこの91年の作品は「サポート・ベーシストとして弾きまくりのマーカス」を堪能できる数少ない作品かも知れない。
実はこのCD、買った当時からあまり聴いていなかった。自分自身もフュージョンから少々距離を置き始めていた時期だったこともある。最近改めて聴きなおしてみて、実に新鮮に自分の中に溶け込んできたのはなぜだろう。。。再評価しちゃいました。
ジョー・サンプルのピアノもお洒落でイイ!